カレーは世界中で食べられ、愛され、多種多様で、形が決まっているわけでなく、多種多様だから面白い。
その人は、スパイスの求道者。
そしてユーモアを何より愛するする人。
「何事も面白くなくちゃね」とにやりと笑いました。
その言葉がお店、というか、その人の全てを表しているようでした。
いつも面白いことを考えて、人生を楽しむ。
2000年5月にオープンした創作カレーの「まざあ・ぐうす」さん。
お店があるのが川越の新河岸。高階地区の五ツ又森の公園向かい、五ツ又自治会館がある道沿いです。福田屋酒店の隣。住宅街にあるので、住所から確認した方が確実。最寄り駅は東武東上線新河岸駅ですが、駅からだと歩いて15分ほどになります。
「まざあ・ぐうす」
川越市砂新田5-2-23
049-244-2391
10:00〜18:00
定休日:月曜&第2、第4日曜日
目の前の五ツ又森の公園がまざあ・ぐうすの目印で象徴。今でこそ住宅が多い地域ですが、この辺一帯は以前は鬱蒼とした森。すぐ近くには川越南文化会館「ジョイフル」があり、ジョイフルの裏には、(仮称)川越市森林公園計画地内「森のさんぽ道」があって森は繋がっていた。あの森を見れば、どれほどの深さの森が広がっていたか想像できるでしょう。
(福原地区の森)
かつての広大な森の名残が、まざあ・ぐうす目の前の五ツ又森の公園にも見ることができます。
まざあ・ぐうす、店内はなんだか居るだけでホッとするような空間で、まるで田舎の実家に帰ってきたかのようなこの落ち着き。そして迎えてくれるまざあ・ぐうすの二人の雰囲気も来る人を和ませ、昔から通う常連客にとっては、第二の実家と称する人もいるくらい。
壁際には絵本がずらりと並んだ様子は壮観。「絵本」というのもこのお店を表す大事なキーワードなのだ。
まざあ・ぐうすの創作カレーは、とにかく独創的。メニューを見ただけでも、その雰囲気がすぐに伝わる。その食材とその食材を組み合わせるという意外なアイディアに溢れ、他のお店ではお目にかかれないカレーばかり。大真面目に考えていても、どこかで店主の遊び心が漏れ出ているような、ユーモアが漂ってくるカレー。あ、このお店は面白いお店だ、とすぐにピンとくるはず。
独創的ではありますが、もちろん全て「カレー」で、カレーという食べ物の裾野の広さを改めて感じさせる。
まるで絵本のような装いのメニューブックを開くと、本の中も絵本のような楽しい世界が広がる。
・木のこカレー
・ポークカレー
・焼きカレー
・ホタテとブロッコリーのカレー
・トマトとズッキーニのカレー
・野菜たっぷりヘルシーカレー
・プレーンカレー
・子どもカレー味バターライス
・ほろ苦春菜カレー
・アボカドソース シーフードカレー
・味噌仕立て牡蠣カレー
・ひき肉と山いもほくほくカレー
・ラム肉のカレー
・らっきょうとオクラ+ひき肉カレー
・牛すじカレー
・ヨーグルト冷製カレー(夏季限定要予約)
カレーは辛さを調整することができます。
注文したらしばしお待ちを。待つ間に絵本に手を伸ばすのでもいいし、テーブル上に置かれたこんな遊びはいかがでしょう。
「たいくつしのぎ」は、時間潰しというか頭の体操にもってこい。
「たいくつしのぎ」と自ら銘打ってしまうユーモア。そのクイズの一つは例えば、
『あるきかれ→あきれる このように、与えられた5文字から4文字をとって一つの動詞を作ってください @まさつある?はるになれBくまづかちCくれよずるDかれたおるEころすよぶ』などなど。意外に難問です。
「たいくつしのぎ」は定期的に変わっていき、子どもだけでなく、大人も夢中になって解こうと向かっている。
まざあ・ぐうすのカレーは、煮込んだカレーが牛すじカレーしかなく、それ以外は具材を炒め、スパイスを混ぜて煮込むという調理するカレーが多いため、多少の時間が必要になる。その間の時間を埋めるために、遊びを用意しているのでした。
まざあ・ぐうすのカレーは、他のどのお店のカレーにも例えようがなく、「まざあ・ぐうすのカレー」という一つのジャンルを確立しているようなカレー。
牛すじカレーも、このカレー自体はおそらくどこかで食べたことのある馴染みのカレーかと思いますが、まざあ・ぐうすの牛すじカレーは間違いなく想像したものを超える。牛すじが主役なのはもちろんで、玉ねぎが入っているのも分かる、ここからがまざあ・ぐうすらしいアイディア、牛蒡やトウモロコシが入っているのが面白い。これによって牛蒡の食感が際立ちます。
・トマトとズッキーニのカレー
・アボカドソース シーフードカレー
・味噌仕立て牡蠣カレー
・焼きカレー
・ほろ苦春菜カレー
ちなみにまざあ・ぐうすでは、カレーの付け合わせのサラダにもスパイスを振り掛けている。
まざあ・ぐうすのカレーで使用しているスパイスは30種類ほど。
スパイスを駆使し、全てのカレーでスパイスの調合が変わるという入れ込みよう。
これまで長年の研究の成果を記したスパイス調合書は、なんだか科学実験の実験書と見間違えるほど精緻。これがなくなったらカレーが作れないとまざあ・ぐうすの峰尾さんが語る、命の次に大事なスパイス調合書です。
ページを一目見ただけで、どれだけの時間、どれだけの情熱をスパイスの組み合わせと結果を調べることに費やしてきたかが分かる。
そこに書かれていたのは・・・
ベースとなるスパイスを作るには、クミンとコリアンダーをこの割合で混ぜるとバランスがいい、クミンとクローブ、シナモンとナツメグなら、フェンネルとシナモンだとこの割合がバランスがいいなど細かく記されていた。峰尾さんの語り口は、なんだかスパイス調合が科学的数学的に思えてくるから不思議。
まざあ・ぐうすでは研究の結果作り上げた数種類のミックススパイスをカレーごとに使い分けて使用しています。
秘伝の調合のミックススパイスは、カレーのみならず他のいろんな料理にも合いそうで、鶏料理にはこれが合いそう・・・などイメージが自然と広がっていく。
タイカレーの調合、と味見させてもらったミックススパイスは、う〜ん、、、まさにあのタイカレーの味。そしてしばらく経つと身体がポカポカ熱くなって額に汗が浮かんでくることに気付く。なんというスパイスの力。
スパイス一つ一つが身体に良いものばかりで、それを組み合わせたまざあ・ぐうすの特製ミックススパイスは、ある意味薬のようなものかも。市販されているものでは、特に漢方薬にはスパイスが使われていることはご存知の通りです。
カレーを辛くするのも、まざあ・ぐうすではチリパウダーやカイエンヌペッパーのスパイスに加えて他のスパイスを増せて複合的な辛さを作ろうとする。
「スパイスの調合がとにかく楽しい」と峰尾さんは話し、調合の割合を少し変えただけで味が変わるスパイスの神秘に惹き込まれている。
峰尾さんは、スパイスの調合には失敗がないという。
味が良くないと思えば、スパイスを足して気にいるようにすればいい。
あれを足したらどうなるだろう、あれをもう少し足してみたらいいんじゃないか、スパイス調合の研究には膨大な時間と手間を注ぎ込んできたこれまで。
日本料理は引き算とよく言われますが、スパイス調合は足し算ではなく、掛け算だと話す。そして足していくことで、掛け算的に味が劇的に変わっていく魅力。
さらに、スパイスを混ぜ合わせたものを置いておくとどんどん味が変わっていき、増せた瞬間はピリピリ感があっても時間が経つと角が取れて柔らかくなったりする。単に1+1=ではなく、化学変化していくのがスパイス調合の特徴だそう。
長い探求で辿り着いた調合割合は、数年前に完全に固まり、以後は変えずに今に至ります。
例えば使うスパイスは、
アボカドソース イカと海老のカレーには、ターメリック、チャットマサラ、クミン、コリアンダー、キャラウェイ、フェヌグリーク、フェンネルなどのスパイスが。
ほろ苦春菜カレー用に使用しているスパイスは、レモングラス、バジル、ローズマリー、ターメリック、ブラックペッパー、陳皮など。
ちなみに、ほろ苦春菜カレーは山菜カレーと言えるもので、ふきのとう、ノビル、ウド、セリ、からし菜などが入っています。
カレーだけでなく、ミルクティーやココアなどのドリンクにもスパイスを効かせているのがスパイスのまざあ・ぐうすらしい。このスパイスミルクティーは身体がポカポカして冬には特に良さそう。
さらに、カルダモンのスパイスを効かせたクッキーも手作り。その名も「ハイブリッドクッキー」です。
峰尾さんの人生をかけたスパイスの研究の成果と言えるミックススパイスは「マジックスパイス」という名で店内で販売もされている。
実はこれがまざあ・ぐうすの一番のヒット商品とのことで、一家に一つの万能調味料として重宝されています。サラダ、焼き魚、焼肉、冷奴、なんにかけても一味違う味になる。
まざあ・ぐうすのマスター峰尾さんは、もともと今お店があるこの場所からほど近くのところで学習塾「峰尾塾」を30年以上経営していた。小学生から中学生を相手に、たくさんの子どもたちに教えていました。
スパイスに対する学術的探究心は、こういう経歴からも窺い知れる。
峰尾さんのお父さんは、東京で中学校の教師をしていて、仕事の傍ら自宅で学校の勉強についていけない子どもたちを集めて私塾を開いていた(当時はこのようなことができた)。自宅でそれを見ていた峰尾さんは、子どもたちに勉強を教えるという現場を自然体で学んでいるようだった。
大学卒業後、広告代理店に就職し、コピーライターとして活躍。そう、ここで今のまざあ・ぐうすに繋がる経歴が。
一言で人の興味をそそるものを、おや?と思わせるものを、日々頭をひねってコピーライティングに没頭していた。
峰尾さんのスパイスのみならず、何事にも「面白さ」を追求する姿勢はまさにこの仕事からでしょう。
その後、編集者、翻訳家の仕事を経て、31歳の時に学習塾「峰尾塾」を開いた。
始めは机は6つ。最初通いに来た子どもは2、3人。
バブルの時代を迎えると塾に通う子どもの数も目に見えるように増えていき、ぎゅうぎゅ詰めになりながら教える風景は、まるで寺子屋のよう。
峰尾さんのユーモア溢れる人柄は、間違いなく、勉強を堅苦しいものではなく、楽しいものとして教育していたのでしょう。それはもう目に浮かぶようで、教え子たちは勉強を楽しみ、毎年のように川越高校・川越女子高校などの進学校へ入学する生徒を育てていった。
周辺地域には教え子たちがたくさん住んでいて、今となっては親となり、子どもと一緒にまざあ・ぐうすに顔を見せに来るのだという。
ここからまざあ・ぐうすが誕生するまでには、もう一つのストーリーがあり、今のこの場所で元服飾デザイナーの奥様が一念発起して軽食を提供する喫茶店を始めたのだった。当時としたら世の中的にもまだまだ珍しかった女性起業家という存在。地域の人が集まり、交流を深めるような場所にしたかったと奥様は振り返る。
お店には子どもや親子が集まるようにと絵本をたくさん置くことにした。
まざあ・ぐうすの絵本というのは、お店を開く時に買い求めたものではなく、なんと自身の子育てで子どものために買い、読み聞かせたものなんです。加えてオープン以来、お客さんの寄贈本もあり、今では凄い蔵書数で、ちょっとした子ども図書館。
喫茶店を開くことは決まった、さあ、次はメニュー。
昔から喫茶店の軽食と言えば、ナポリタンか・・・カレーか・・・、
「よし、カレーを提供しよう!」と思い立って2000年に開いたのが、まざあ・ぐうすでした。
この場所で喫茶店が成り立つのかという不安もありましたが、全く知らない土地でゼロから始めるのではない、塾の生徒や親後さんが地域にたくさんいる。お客さんとして来てくれるのではないかという狙いもあって、立地についてはそれほど悪いとは思わなかった。
まざあ・ぐうすを開くと、マスターの峰尾塾をお店の横の自宅に移し、当初はマスターは峰尾塾、奥様がまざあ・ぐうすと別々に運営していたという。
二つが隣り合っていると相乗効果もあって、子どもたちのカレーが出来るまでの間、隣の塾で自習の課題を与えることもでき、なんてことも。
ここにあの「たいくつしのぎ」が残っていった経緯が見えるよう。
というか、塾で子どもたちに出していたクイズを今お店で使っているのが「たいくつしのぎ」です。
やがて、峰尾塾は閉め、マスターと奥様二人でまざあ・ぐうすに専念するようになる。
当時あったカレーの一例としては、マスターが作る「パパカレー」に奥様が作る「ママカレー」。パパは少し辛め、ママは家庭的なカレー。
このネーミングセンスがまざあ・ぐうすの真骨頂。
コヒーライターとしての面白さが光ります。
ちなみにパパカレーとママカレーを合わせたものとして「合体カレー」が。
他にも日々カレーの味が変わるという意味で「進化するカレー」なんていう名前のカレーもありました。この名前で本当に出していたんです。
のみならず、「進化するカレー8月20日版」というように毎日更新して遊び心を表現していた。
しばらくは他の軽食と喫茶というスタイルでしたが、徐々にカレーの割合が増えていき、10年前にカレー専門店になっていたまざあ・ぐうす。カレーを作るのはマスターの仕事になり、ここから、マスターのスパイス求道の本格的な道のりが始まったと言っていい。
マスターはお客さんの声に耳を傾け、参考にしながらカレーに改良を加えていった。
同時にカレーの種類がどんどん増えていき、今のようなメニュー数になっていった。一時期はもっと多かったですが。。。
お客さんの声が「スパイス」で、出来たカレーはお客さんとの「合体カレー」。そして出来たカレーには「面白い」ネーミングをつける。
五ツ又森の公園の木々は、夏の盛りを過ぎると深緑を葉を落として軽くなりながら、秋へ向けた衣替えを始めようとしていた。
地域の交流を大事にしてきたまざあ・ぐうすさんは、毎年5月のまざあ・ぐうす誕生記念に合わせ、4月下旬頃にまざあ・ぐうすフェスタを開催しているのが恒例。店内外で雑貨販売やワークショップが行われて賑わい、カレーを普段より安く提供しています。フェスタにはまざあ・ぐうすの昔からの常連である川越の川合住宅設備株式会社の川合さんが協力していて、いろんな出店者の橋渡しを行っているそう。
イベント出店したいという人の貴重な機会となって、2016年4月29日のまざあ・ぐうすフェスタには、食育の活動を展開している「ママのたからばこ」の吉川さんが出店していました。
ママのたからばことして初めてのイベント出店が、このフェスタ。
「親子の食育としてかき氷トッピング」を開催しました。
(親子の食育としてかき氷トッピングの数々
)
また、自店でミニイベントを開催することも多く、2016年12月には、「第五回フルートアンサンブル せきれい」、2017年3月には「第16回ひなまつり落語会」を開催していました。
それに、なんと言ってもお店の目の前の五ツ又森の公園です。五ツ又自治会による毎年夏のお祭り「五ツ又まつり」は、この公園をメイン会場として盆踊り、神輿町内巡行、山車町内巡行が行われ、この二日間のお祭りではまざあ・ぐうすでもお祭り仕様のカレーやモツ煮込みなどを提供しています。
(2017年7月「五ツ又まつり」より)
そうそう、今から3〜4年前のことになるでしょうか。まざあ・ぐうすを舞台にした、こんな遊び?が一時流行ったことがあった。あれは、ユーモア溢れるまざあ・ぐうすさんの雰囲気がいつの間にかお客さんにも伝染したのでしょうね。お客さん発で面白い遊びが生まれていた。
今考えればあれも「たいくつしのぎ」だったのかも。。。
発信地となったのが、Facebookの「フェイスブック小江戸川越会」。
「フェイスブック小江戸川越会」。
川越LOVEな人が集まり情報交換で交流するグループは、以前活発にランチ会などが開催されていて、実はまざあ・ぐうすでも行われたことがあったのです。
ある一人が、お店に来た時に、え!こんな本もある!と珍しがったのが、「マグダラのマリア」。
まざあ・ぐうすでこの本を見つけたことをSNSで発信し、珍しい本だからぜひ手に取ってみて、だけど本がある場所は教えないので自分で見つけてと、あの「たいくつしのぎ」ばりの謎解きを吹っ掛けたのでした。
そんな投稿を目にしたからには川越人は俄然盛り上がる。
まざあ・ぐうすを訪ねてカレーを待つ間に「マグダラのマリア」を探すようになり、見つけられた人は本の間に見つけた証拠の紙片を挟んでいくようになった。そして次の謎解きにするために、本の場所を変えて帰っていく。
見つけた人が投稿し、それを見た人がチャレンジしに行き・・・と連鎖し、気づいたら本の間にはお店に来て見つけた人の紙片が、ドサッと山のようになっていた。。。
中には本棚を熱心に探す人に、奥様が先回りして「あ、マグダラのマリアですか?」と問いかけ一緒に探すまでになったという。。。(笑)
本がたくさんあるから、きっとこんなことも生まれたのだろうし、アットホームな雰囲気のこのお店だからこそこんなことになった。
このことに今言及するのは、まざあ・ぐうすの面白さを紹介するためでもありますが、もっと大事なことがある。
今振り返ればこの面白い遊びが起点になっていたのだと源流点を見るよう。
ここまでなら単に面白いエピソードで終わり。
しかし、物語はここで終わらない。
この後・・・あんな展開になっていくとは、一体誰が想像できただろう。
この遊びの首謀者の仁居さんは、この時からしばらくの時を経て、自身のカレー好きが高じ過ぎてカレーのイベントを川越で始めることになった。もともと川越のお米のブランド化を掲げた「極選川越米」という活動を展開していて、お米と言えばカレーと繋げていったのだ。
そう、ご存知「彩の国カレーなる闘い」です。
第一回開催が2016年3月のこと。実はこの大会を立ち上げた時から、「まざあ・ぐうすさんに出場してもらいたい」と語っていた仁居さん。あのカレーが好きで、あの二人が出場したらなんという夢の展開になるだろう、そんな野望を語っていたのです。
しかし、イベント出店というものに慣れておらず、さらに、そんな体力勝負のような出店は自分たちには無理と及び腰のまざあ・ぐうすの二人は、初回出場を見送った。。。
第一回大会が終わり、次に向けて動き出した実行委員会は、「次こそはまざあ・ぐうすさんに・・・」と熱意は冷めるどころかますます燃え上がり、その熱に応えたいと思った、二人は、ついに・・・第二回大会に出場することを決めたのでした。
まざあ・ぐうすがカレーのイベントに出場する。まざあ・ぐうすはカレー店でありつつも、いわゆるカレー業界的なくくりとは別世界にところにいる孤高の存在ですが、まさかカレーイベントというカレー業界ど真ん中に入っていくなんて、お店の常連客ほど驚いたことでしょう。
チラシを店内に掲示し、それを見た常連客が「応援に行く!」と名乗りを挙げる人が続出したそう。
まざあ・ぐうすが川越のイベントに出店するなんて、しかもウニクス川越という場所に、そのあり得なさがわくわく感を高めていった。
峰尾さんはもちろん、普段通りのお店のカレーを出品すると決め、今だかつてない量のカレーを仕込もうと、イベント出店の準備を進める。
五ツ又森の公園も紅葉が色鮮やかに輝きだした頃のことでした。
説得にほだされた格好になりつつも、出場するとなったら俄然やる気が溢れてくる二人。
秋から冬へ、公園の木々は赤や黄色の燃え上がった色の葉を落とし、枝だけとなった姿は、寂しさ以上の凛々しさで、まざあ・ぐうすのイベントにかける想いの鋭さを代弁しているようでした。
ついに迎えた2016年12月4日「第2回彩の国カレーなる闘いin川越」ウニクス川越広場。
イベントではスパイスを効かせた牛すじカレーを提供、他のお店とは全く趣向が違うカレーに、来場者も楽しんでいたようだった。
m まざぁぐうす(川越市)『森の中で16年、ひたすら研究し続けた、秘伝のスパイスを皆様にお届けします。』
(「第2回彩の国カレーなる闘いin川越」ウニクス川越広場2016年12月4日
)
イベントではカレーグランプリは叶いませんでしたが、来場者の記憶に残るカレーであったことは確か。こういうカレーがあるのか、こういうカレーもありなのか、カレーの可能性はどこまでも広いということをその出店で身を持って伝えていたのでした。
そして、まざあ・ぐうすによるカレーなるストーリーは終わりではない。。。
次回、2017年12月10日(日)開催の第4回彩の国カレーなる闘いに出場予定となっています。おそらくあの牛すじカレーを引っ提げての出場になるでしょう。
「まざあ・ぐうす」という店名はどこから・・・??という問いには、ここまできたら既に予想できた通りの行動が。奥様が本棚に近寄って、一冊の本を取り出して見せてくれた。
やはり、本棚の中に秘密が隠されていたのです。
「まざあ・ぐうす」。
子どもが小さい頃から頻繁に読み聞かせしていたという思い出の詰まった本。日本で言うと童歌のようなシリーズ本は、ナンセンスであり、ユーモアがあり、谷川俊太郎や北原白秋、中原中也も訳していることでも有名。峰尾さん自身が何より最も好きな本で、これを店名にするというのはもう当然のことだったと言えます。
そうだ。
「まざあ・ぐうす」の本が存在感を発揮するお店で、「マグダラのマリア」の展開は、きっと必然だったのだろうと、今になって思います。
え?
「マグダラのマリア」?
ええ、もちろん、今でもまざあ・ぐうすの本棚にありますよ。
ふふふ、さあ、どこにあるでしょう。
自身で見つけてみてください。
おっと、もし見つけたら、見つけた証を残しておくのもお忘れなく。
そして次の人のために、頭をひねって置く場所を考えてください。
おや、そろそろカレーが出来上がったようですよ。
たいくつしのぎも解けましたか??
では、カレーをどうぞ。
「僕は面白さを一番大事にしているんだ」。
「まざあ・ぐうす」
川越市砂新田5-2-23
049-244-2391
10:00〜18:00
定休日:月曜&第2、第4日曜日