「エッチなら、健くんのしたいときに、させてあげるよ。あたし」
健くんは、チラッとあたしを見て微笑むと、また視線をあたしの耳たぶに戻した。
あたしの言葉に特に心を動かされた様子もなく、無表情に黙って耳たぶを触り続ける。
健くんの指を感じて、ドキドキする。
いいね
とか
ありがとう
とか
じゃあ付き合おうか
とか…
そういうの…
ないの?…ない…か…。
「小夏はさぁ…」
…来た…っ。
「俺じゃなくても、他の男でも、わりと簡単に…許しちゃうわけ?」
やっぱり軽いと思われてるよね。実際そうだし。
でも、健くんは特別だなんて言ったところで信じてもらえないだろうし、そんなこと言ったら逆に引かれそうな気がする。
「知らない人とはしないよ?」
「エッチが好きなの?」
「エッチしたいって言われるのが好きなの。求められると、弱いんだよね」
「ちゃんと相手は選んでるつもり?」
「もちろん」
「危なっかしいな…」
「心配してくれるの?」
「もったいないよ」
って今度はあたしの髪を優しく梳いた。
こんなふうにエッチのあとで、体に触れてくれるのが嬉しい。
「可愛いんだから、男なんて焦らしてやりゃいいのに」
もったいないとか可愛いとか…ああ、健くんって天性の女たらしなんだな。
焦らしてやりゃいいなんて…
「やってからそういうこと言う?」
って言うと、健くんが、てへへって頭をかいて、
「すみません」
って手を引っ込めた。
それから、しばらく黙って見つめ合った。
ふいに、
「小夏…」
って健くんが腹筋を使って体を少し起こした。手であたしの肩を押してベッドに沈める。
仰向けになったあたしに覆い被さって、キスをしながら、あたしの手を掴む。
唇を離して、意味ありげに上目遣いで見て、その手を布団の中に導く。
硬いものが指先に触れる。
「…健くん…早い…」
ドキドキする…。
健くんが、あたしを求めてる。
「もう一回、なんとかしていただけますでしょうか?」
ってあたしに触らせて、腰を動かした。
「健くん…『焦らしてやりゃいい』って言わなかった?さっき」
「言ったけど…」
って熱い眼差しであたしを見ながら、あたしの体にグイグイ押しつけてくる。
「そっちは…求められると弱いって言わなかった?」
って言うと、そのきれいに筋肉のついた逞ましい腕を伸ばして、ベッドサイドにある四角い小さな袋を手に取った。