半年振りぐらいのエントリーになります(汗)
UFCのシンガポール大会でオクタゴン・デビューを果たした井上直樹選手と対戦したジョン・デ・トーマス選手の計量オーバーについて書きたいと思います。
今回、井上選手は赤コーナー。そしてトーマス選手は青コーナーだったんで、練習場は同じ青コーナーだった佐々木憂流迦選手と一緒だったんですね。
計量の前日、佐々木選手とコーチのネスター(・マルテ)が練習していたところに、トーマス選手もいたんですが、まだまだ体重重そうだったんで、実をいうと、佐々木選手は自分の発汗クリームなど、減量に必要なものをトーマス選手に使わせてあげたんです。
それなのに、トーマス選手は発汗クリーム塗ったのはいいんですが、サウナスーツを着てストレッチしながら、佐々木選手とネスターの練習をニコニコと眺めてただけだったらしいんで、大丈夫かな?とは思ってたんですけど........
次の日の朝9時から11時の間に行われた本計量に、10時15分過ぎてもトーマス選手がきていなかった時点で、多分体重オーバーするなぁ?と思っていたんです。(注:いまのUFCは朝9時から11時の間、好きなときに計量できるんです)
案の定、10時30分ぐらいに、マッチメーカーのショーン(・シェルビー)から「電話くれ」とメールが入ったので、電話して開口一番「トーマス選手計量オーバーでしょ?」と聞いたら「5ポンド・オーバーだけど、どうする?試合を受けるのならトーマス選手のギャランティから20%ペナルティが穫れるけど」との事。
その時に真っ先に言ったのは、フライ級で5ポンド・オーバーは酷過ぎる、だから20%ポッキリのペナルティで試合を受けるのは納得いかない。
それから、試合当日に安全計量させて134ポンドより重くてはいけないという事にできないか?なんです。
そしてその答えを待っている間に、アジアの他のMMAプロモーションのプロモーターやマッチメーカーに連絡して、トーマス選手の私生活の状況を調べたんです。
要は、どれぐらい金に困っているのかを知りたかったんですね。
試合がキャンセルになって、一銭もファイトマネー貰えなくて帰国してもビクともしないぐらいの金持ちなのか、または、ファイトマネー無しでフィリピンに戻ったら生活が困窮する、みたいな状況なのか。
それによって、相手の出方も違ってくると思ったんで。
そしたら、まずショーンから帰ってきた答えは、安全計量はやらせたくない。
色々と理由はあったんですが、そのひとつは、UFCとしても、明日試合するという事でガンガンに宣伝してPRして、それで当日また計量オーバーだから、試合無しという事になったらそれはそれで問題になるし、現実的に考えても、明日まで134ポンドをキープできるとは思えない。
あとペナルティに関しては、カリフォルニア州みたいに20%以上とれないというルールはなかったんで、いくらなら試合は成立するのか?という話になり、井上選手の師匠、空手道白心会の山口定則会長と相談して、それなら30%欲しいと要求したんですね。
その要求をした直後に、実を言うと、某アジアのMMAプロモーションのマッチメーカーから「トーマスはお金に困っている。病気の娘がいて脊椎の手術が必要だから、いくらペナルティとっても試合を受けるハズだ」という連絡が入ったんで、なんだ、それなら50%ぐらい要求してやれば良かったと一瞬思ったんですけど(苦笑)トーマス選手が30%をすぐに飲んだんで、試合成立となったんです。
さて、この話、ここで終わりではないんです。
TV用計量の数時間前に、トーマス選手本人からに「話がしたい」というメールがきたんです。
それでTV用計量のバックステージで話したら「昨晩128ポンドで寝たのに起きたら132ポンドだった」と言ってきたんですよ。
そんな事あり得る訳ねぇだろと思ったんで、相手にしなかったんですが(笑)
そしたら試合後、オクタゴンの中でトーマス選手は、わたしに「30%なんとか返してくれないかな?」と聞いてきたんです。
ですから、わたし、ハッキリと彼には言ったんです。
娘さんのことは気の毒だと思うけど、試合が決まってから2ヶ月半もあったんだから、意地でも体重落とすべきだったんじゃないの?
それができなかったきみは、ファイターとしても父親としても失格だ。
だから30%戻すなんてことはあり得ない。
少し可哀想かなとも思ったんですが、井上選手だって、命削って練習してきてしっかりと体重落としてきたんだから、プロとしてやるべき事をやらなかったトーマス選手が悪い。そう考えるしかないと思ったんです。
でも娘さんの手術費を捻出するためのクラウド・ファンディングとかやっているのなら、少しお金寄付してあげようかなと思ってトーマス選手のFBページをチェックしてみたんですけど、そういった動きは全くないみたいなので...........
娘さんの為にも、次はしっかりと調整して試合に臨んで欲しいところです。
追記:
アライアンスMMAにサッカーパンチ(SP)を売却した時に、わたしの権利も売ってしまったので、現在はSPとは関わりがないんですけどー
わたしがSPのマネージング・パートナーだった時にUFCと契約したマックス・ホロウェイ。
彼もオクタゴン初戦の時はまだ20歳と三ヶ月だったんで、かなりの人たちから「時期尚早」だとか「レスリングができないから無理」とか非難されましたけど、いまの結果をみて頂ければ、決して早過ぎた訳ではないし、UFCの中で育っていくファイターもいるというのが充分に証明されたと思います。
ちなみに元ミドルのチャンプ、ロビー・ローラーやニック・ディアズがUFCデビューしたのも20歳の時ですし、わたしがボードッグのファイト・チームの一員として働いていた時にみつけて契約し、パンクラスに参戦させたジョゼ・アルドだって、昇侍選手と試合した時は20歳でしたしWECに参戦した時は21歳。
史上最年少でUFCチャンプになったジョン・ジョーンズもUFCで初めて試合した時は21歳と一ヶ月でした。
(もちろんダン・ローゾンみたいに18歳で契約し一試合だけしてリリースされたケースもありますが......彼も21歳でまたUFCと再契約しましたし)
もちろん日本でトップを穫って勝てるようになってからUFCへ、と考えるファイターもいるとは思いますけど、日本でトップを穫ってもかんたんに勝てない。それがメジャーリーグだとわたしは思うんです。
それなら日本でトップを穫ることよりもメジャーでの経験を早くから積ませて、世界のトップを狙った方がいいのでは?という考え方もあると思うんです。
大切なのは、年齢だけでなく、MMAファイターとしての経験値とそのファイターがもっているポテンシャルだとわたしは思っています。
ですから山口会長の指導のもと、井上直樹選手には、これからも思う存分オクタゴンの中で暴れて欲しいと思っています。