(前編のつづき)
それらを踏まえてなお同じ場面を使い回すのは、コア向けの映画といえどもリスクは大きい。もっと主要なエピソードを拾ったり、他の重要キャラクタを出せとの声はあがるだろう。再見で飽きられる可能性も高くなる。
だが本作ハイエボ1は、かなり演出構成的に成功してる。場面の繰り返しが後で効いてくる。前回のはじめにリフレインの物語と書いたのはそれだ。
テレビシリーズの単なる焼き直しに留まらず、原点を踏まえた上で、別の角度から物語の意義を見いだす構成になっている。過去をなぞりながら、そこにまた別の情景を見る。
救世の英雄アドロックと、レントンのすれ違った親子関係もまた然り。養子縁組を望んだビームス夫妻が、家出少年レントンに対して重要な役割を務める。自棄や暴走しがちな少年に心の成長を促して、彼に自信と居場所と存在意義を与える。
謂わば本作は、失意のどん底にあるカエルの子が、尾の生えたオタマジャクシから雄カエルになろうと決意するまでの助走段階にあたる。
映画の冒頭は、主人公レントンのモノローグから始まる。14歳設定だが、声の年齢を上げ過ぎかな、と多少不安になった。だが展開が進むにつれて、それも気にならなくなった。
アフレコは新録だが。体当たりの勢いや若さで演じたものを、あとから意識してパズルのように再現するのは、口で言うほど簡単ではない。
時系列はあちこちに飛ぶわ、思春期の絶頂の最中にある、主人公レントンは落ち込んだり浮かれたりで忙しい。よくもまあ12年前の芝居を正確になぞれるものだと感心する。
交響詩篇エウレカセブンは三瓶由布子の初主演作になる。(エウレカ役の名塚佳織もだが)10代の新人声優だった。経験不足で演技的に固まっていない時期だ(だからこそなのか?)。ハイエボについては特筆ものだと賞賛しておこう。
エウレカについては、また次回に持ち越し。機械人形的にクールビューティだが。レントンが一目惚れする理由が分からないくらい。まだヒロインに相応しい活躍は見せていない。
次回予告は流石にアレだったが、ネタに走り過ぎた感もあり(フェイクだろう)。ところでドミニクはどうした。 (了:1425+1807字)