札幌市内で上映している3館全てに行ってみた
そこで観る事を強くお勧めする
(近くにIMAXシアターが無ければ、なるべく大きな劇場で)
例えて言うなら、初見のIMAXシアターは
まるで戦場に入り込んだ臨場感
2ケルク目の札幌シネマフロンティアのシアター8は
同シネコン内で2番目に大きなスクリーンを
少し見上げる角度で鑑賞
初見でハートを撃ち抜かれた英国空軍の2人を
憧れの眼差しで見上げつつ、この作品の複雑な時間軸を
頭の中で整理して行く感覚
3ケルク目は、スガイディノスのスクリーン1にて
入口に近い席に座ると、少しスクリーンを見下ろす角度になる
IMAXで疑似体験した戦場を俯瞰して、今度は
神の目線で運命に翻弄される青年兵たちを追って行く
そして、4ケルク目は再びIMAXで
正直、3ケルク目で もう充分だ と言う気がしていた
しかし、9/15(金)トム・ハーディのBirthdayに
彼が四十路を迎える日はどうしても
スクリーンのトムハを観ながら祝いたいと
仕事を早目に切り上げて劇場に急いだ
本作は、初見と2度目では泣き所が随分違った
放り込まれた戦場で、ただただ必死に生き抜く初回と
全員の運命を知ってから観る2回目では
胸を打たれる場面が微妙に違う
しかし、4ケルク目は初見とそれ以降観た時に
涙したシーン全てで泣けた
涙したシーン全てで泣けた
Net上では「何が良いのか分からない」とか
「トム・ハーディだけ贔屓されてる?」なんて
感想をちらほら見掛けるけれど
前の記事に書いたように『ダンケルク』は
他の、どの戦争映画とも切り口が全く違う
血みどろの戦場を覚悟していたら
肩すかしになるかもしれない
また、各登場人物は背景がほとんど描写されず
極端にセリフが少ない
わかり易いドラマを求める観客には
まるで、塩気の無い食事を口にしたような
味気なさを感じさせるかもしれない
更に極めて状況説明が少ないので
次々と切り替わる海と空と陸地のシーンの
時間の流れがそれぞれ違う事を把握出来るまで
しばしば混乱することだろう
だからこそ、逆に、時間軸の交わりが見えた時
全身の毛が立ち上がるような感覚をおぼえる
なぜ、ノーラン監督はそんな撮り方をしたのか
4度観て、ようやく自分なりに理解出来た気がする
※※この先は、間接的なネタバレになるので
知りたくない方はサヨウナラ※※
主人公のトミーは、まるで運命に弄ばれるように
何度も何度も窮地をかいくぐる事になる
砂浜では目前の兵士が砲弾に吹き飛ばされ
やっとの思いで乗り込んだ船には魚雷が撃ち込まれて
周りの兵士のほとんどが溺れ死ぬ
投げ出された夜の海では転覆するからと
ボートの乗船を拒否されたり
敵地側で見付けた商船に潜り込めば
訓練の銃弾を船体に撃ち込まれる
沖合い出ても商船は沈み始め、傍らで爆撃された船の
重油にまみれながら必死に救助の手まで泳ぐ間に
撃墜された戦闘機が燃料の広がる海に落ちて来る
これだけの九死に一生を得るような奇跡が
一人の人間に繰り返し起きるだろうか?
そうでは無く「トミー」は
一つのキャラクターの姿を与えられた
若い「英国の兵士」と言う記号なのだ
重油にまみれながら必死に救助の手まで泳ぐ間に
撃墜された戦闘機が燃料の広がる海に落ちて来る
これだけの九死に一生を得るような奇跡が
一人の人間に繰り返し起きるだろうか?
そうでは無く「トミー」は
一つのキャラクターの姿を与えられた
若い「英国の兵士」と言う記号なのだ
戦地から生還した兵士は、自らの努力や他人の助けと
本人には決してままならない運によって
「HOME=故郷」の地を踏む事が許された
そして、トミーだけではなく
他者を思い遣る優しい心を持ちながら
ギブソンやジョージの様な運命を辿った者
アレックスのように、窮地で他人を蹴落とそうとしたり
人の一面しか見ずに物事を判断しがちな者
息子の面影を持つ兵士たちを一人でも多く助けようと
奮闘した船主のドーソンも
キリアンが演じた戦地のショックで
救いようの無い心の傷を負い、周囲まで傷付ける兵士も
海上のみならず、海岸の兵士達や同僚も敵機から守った
英雄的なパイロットのファリアーも
代表的な登場人物として動かされていたと考えれば
納得が行く
ノーラン監督は、恐ろしく明晰な人なのだろう
あの3つの空間と3種類の時間軸をシャッフルした中で
動かす駒を極力少なくしなければ
我々の理解力を超えてしまう
絞り込まれた人物の役割は多く個々の深掘りは敢えてされない
底に流れるドラマを汲み取るのは、我々観客なのだ
しかし、英国の人々は失意の兵士たちを命懸けで連れ戻し
彼らの帰還を心から歓迎した
ノーラン監督はダンケルクの出来事を美化も貶めもせず
歴史的な事実に沿って、最大限に効果的に映像化した
それは、単純な反戦でも、戦争讃歌でも無い
ハンス・ジマーの音楽の心臓を締め付ける緊張感と
深遠な安らぎを感じるメロディによって
この作品は完成している
まずは、頭で理解しようとせずに
劇場に足をはこんで欲しい
想像している戦争映画とは
全く違った経験をして帰る事になると思うから‥