Unforgettable though near or far
Like a song of love that clings to me
How the thought of you does things to me
Never before has someone been more」
(忘れられない、あなたのことが。忘れられない
近くにいても、離れていても。
まるで心の中で奏で続く愛の歌のよう。
あなたへの思いが どれほどわたしに影響しているか。
今まで 誰にもこんな思いは抱かなかった)
〜Unforgettable Nat king Cole 〜
君のお葬式の日に僕は立ちすくんでいた。
悲しすぎて泣くことすらできなかった。
幸せにすると誓ったはずなのに約束を果たせなかった。
どうすることもできずに傘をさしたままぼんやりと紫陽花の花を見つめていた。
僕だけ時間が止まったようだった
生後8ヶ月になろうとしてるアイリーンを残して君は天国に旅立った
小さな頃からの親友だった。
君はハキハキとして、僕を引っ張り回した。
勝ち気でなき虫で、美しく、賢く優しい女性だった。
僕は一目で恋に落ちた。何年も何年も片想いをしていた。
やっと自分の気持ちをつたえたときに
君は「やっと言ったわね!遅いくらいだわ」といった。
「いつか必ず迎えに行くから待ってて欲しい」といい。
それから猛然と勉強して、シガールームに入り、ビジネスをはじめて、資金を作り、父を説得し
内々に承諾を取り付けた。
ただ、条件がひとつだけあったけれど。
君にそれを伝えると
「まあ。フレデリック!ほんとなの?
おばあちゃんになるまで許してもらえないって覚悟してたわ」と泣き出した。
彼女の両親に挨拶してそれをつたえた。君のお父さんから「メアリーのために。こんなにしてくれて。なんといったらいいか。本当なら君に不釣り合いな立場なのに。娘は幸せものだ。」と言ってくれた。
僕たちは婚約した。
サマーバケーション中にロンドンに行き、サロンに連れていった。マダムにレディレッスンをお願いするために。
マダムは大喜びしてくれた。
「こんな素敵なレディがいたなんてね。フレデリック。任せて。より一層わたしも役目を果たさせてもらうわ」といってくれた。
ログザンナはわたしにウインクをなげてきた。
こっそり耳打ちされた
「フレデリック。あのこ素敵ね、あなたもなかなか見る目があるわ」と言っていた。
レッスンがない日は、みんなでピクニックや観劇に出掛けた。
マダムはことのほかメアリーをきにかけてくれて、あちこち洋装店にいってはメアリーのドレスを見繕ってくれていた。
サマーバケーションは夢のような時間だった。
メアリーは必死に勉強してレッスンを受けていたようだった。
「フレデリックが恥をかかないように」と
夏が終わり秋がきて、一度実家に帰るということになった。
マダムはなぜか引き留めた。ずっとロンドンに居なさいと。
僕も父から連絡があった。
折り入って話があると。
ふたりで一度故郷に帰った。
あんなことがあるなんて。誰も予想もしていなかった。